東京空港作業所の業務紹介
当社は、創業以来60年にわたって空港土木施設の維持修繕工事に関する知見を蓄積し、様々な技術を導入しながら、滑走路をはじめとする重要な空港インフラの維持管理にあたってきました。中央工営は人と技術で日本の空の発展に貢献しています。
当社が実施する維持修繕工事には、滑走路等の巡回点検、海上制限区域にある灯標点検、緑地帯の草刈、航空機が通行する舗装面の清掃や補修、標識の再塗装、降雪の際の除雪など様々な作業を実施しています。
ここでは代表的なものを紹介します。
1.計画策定と調整
24時間運用の羽田空港において、安全で効率的に維持工事を進めるためには、綿密な作業計画の策定が欠かせません。滑走路などの主要施設は曜日に応じて作業可能な時間帯が変わるため、発注者や協力会社など関係者と調整しながら作業計画を策定します。
当社はこれまで空港の維持修繕工事で培ってきた、安全管理や工程調整などに関するノウハウを活用し、主として現場での作業指示や管制官等との交信、調整などにあたっています。
2.巡回点検工
舗装は航空機の荷重を直接受け止める空港の最重要施設です。滑走路上では航空機が最大時速300kmもの高速で走行すると同時に、着陸地点では300t以上の航空機の衝撃荷重を受け止める必要があります。誘導路やエプロン上では高速走行はしない反面、大きな荷重が長時間同じ個所に集中するなどの特性があります。これら舗装の特性に合わせて、工学的な観点から点検と補修を行います。
3.舗装補修工
羽田空港の滑走路・誘導路等の舗装面は繰り返し通行する航空機の荷重により、クラックや轍ぼれなどの不具合が生じます。これを放置すると航空機の安全な通行に支障を来すので、緊急補修を施します。アスファルト合材で施工する場合や、常温合材と呼ばれる施工性の高い特別な材料で補修する場合など、不具合の程度と施工可能時間などを勘案して適正に対処します。
4.草刈工
航空機の離着陸や地上走行を行う基本施設空港の多くの部分は草地です。草地には航空機が経路から逸脱した場合に制動効果が見込めますが、反面、草が繁茂すると空港の案内標識がパイロットから見えにくくなったり、昆虫が繁殖し、それを求めて飛来する鳥類が運航の安全を脅かしたりします。(バードストライク(鳥衝突)は、空港周辺で飛行の安全を脅かす大きな要因です。)
航空機の運航に支障を来さないよう、草地の計画的な草刈が欠かせません。滑走路や誘導路に近接した作業となるため多くは夜間に行います。
5.ゴム除去工
航空機の発着に伴い、タイヤのゴムが滑走路につくと、すべり摩擦抵抗が低くなって航空機の離着陸に支障が生じます。また、ゴムが滑走路に施してあるグルービングと呼ばれる排水用の溝を塞ぐと滑走路の排水が阻害されます。そこで、すべり摩擦計を搭載した特殊車両を用いて定期的に滑走路のすべり摩擦抵抗を計測し、その結果に応じてゴム除去作業を行います。
6.標識維持工
空港の舗装面には滑走路の方位や位置などを示す飛行場標識が設置されています。これらは、国際基準で位置やサイズが厳密に規定されています。基本施設が複雑にレイアウトされ、外国航空機が数多く発着する羽田空港では、これら標識を明瞭に保全し、視認性を常に健全な状態に保つことが特に重要です。中央工営では国際基準に沿って標識を定期的に再塗装します。
7.除雪工
冬季は積雪に備えて万全の除雪体制を敷いています。羽田は東北や北海道の空港に比べれば降雪の頻度こそ高くはありませんが、数年に一度は積雪に見舞われます。発着回数が日本で最大の羽田空港が積雪で運用できなくなると、日本の航空ネットワーク全体に大きな影響が生じてしまいますので、冬への備えが欠かせません。大雪の予報が発出されると、いつでも除雪業務に出動できるよう、待機が要請されます。
8.灯標点検工
羽田空港のD滑走路は、多摩川の河口部に位置しており、河川の通水性を確保するための桟橋構造と埋め立て構造を組み合わせた複合構造(ハイブリッド構造)となっています。
複雑な海洋構造物の安全を確保するために海上に30基の灯標が設置されており、当社がそれらの点検を担っています。